テニス肘の鍼灸治療

執筆者 | 2021/06/28 | テニス肘, 患者向け

こんにちは。二天堂鍼灸院の中野です。皆さんスポーツによる肘や手首の痛みでお困りではありませんか?今回はテニス肘について書きます。なお、テニス肘というのは肘の外側の痛みですが、内側の痛み(ゴルフ肘)、肩の痛み(野球肩)あるいは手首の痛み(腱鞘炎)などについても同様です。これらは関節を動かす筋肉が腱になって関節に付着する部分で起きる慢性炎症です。原因は使い過ぎです。しかし使用頻度に関わらず原因不明のケースもあります。特に女性に多い印象があります。おそらく、その時々の体調やホルモンバランスにより免疫機能が亢進しすぎると炎症が起きやすくなると私は考えています。

テニス肘(スポーツ肘)について

テニス肘とは、専門的には「上腕骨外側上顆炎」といいます。腕をよく使うスポーツでのオーバーワークによる、肘の慢性炎症です。物を持ち上げたり、ドアノブを回す等の動作で肘の炎症部位に痛みが出ます。

スポーツによる様々な痛みにもご対応します

先日、医師の先生が、テニス肘の治療にお越しになりました。実際は、ゴルフのレッスンで肘を傷めたらしいのですが、外側上顆(肘の外側)の痛みなので、「テニス肘の治療をして欲しい。」と来院されました。一般的に、テニスのスウィングでは外側上顆(肘の外側)、ゴルフ・スウィングや野球の投球動作では内側上顆(肘の内側)を傷めやすいと言われています。それで、これらのスポーツによる外傷肘のことを、テニス肘や野球肘、ゴルフ肘と呼んだりします。整形外科でも局所へステロイド注射を数回行ったが、成績は芳しくないとのことでした。鍼灸院も一度受診しましたが、そちらでは下肢のツボと肩のツボに軽い鍼をしただけで、肘は触らなかったといいます。おそらく、発痛部位の経絡上に鍼をしたのでしょう。ご本人も「これでは治らない。」と思ったそうです。私もそれでは難しい思いました。

関節の故障の原因は連動性

先に全体的なお話をするなら、肩関節でも、肘でも、手首でも、あるいは膝でも足首でも、関節の故障は、運動の連動性に問題があります。通常一つの関節だけを動かして作業をするということはほとんどありません。何気に行なっている一つ一つの動作にも必ず複数の関節の協同作業、連動性があります。

例えば乳幼児のお母さんは、子供を頻繁に抱っこし、その上で家事をこなします。そのため、どうしても手首の腱鞘炎や肘を傷めやすくなります。そんな時は子供を全身で包み込むように抱っこしてください。子供の体重を腕だけで支えるのではなく、体幹でも包み込むように身体を使うのです。そうすれば、腕への負担が減り、手首や肘を傷めることは少なくなります。

スポーツによる関節の故障の原因を考えてみましょう。おそらくは、体の使い方、スポーツならば適正なフォームができていないために、関節に負荷がかかりすぎて故障が生じると推測できます。地面の踏ん張りから生じる反作用の力は、下肢から体幹を通り上肢へと伝わります。この力の伝導が良好なら、当然、ボールにインパクトする時、その力がボールにも伝わり、いいパフォーマンスが発揮できます。しかし、連動性の悪いカラダの使い方では、その力の伝導が悪く、連動性が寸断された箇所(関節)では、その力を吸収することになるので、故障の原因になります。なおかつ、ボールにも十分な力が伝わらずパフォーマンスは下がってしまいます。地面→下肢→体幹→上肢(or下肢)の力の伝導。大地から受けた力を、いかに上手にカラダから逃していくか、抜けていくか、その通り道をよくイメージしてください。そうすればフォームに対する俯瞰力がつき、きっとパフォーマンスの改善につながります。

そう考えると、上肢、下肢の関節の故障の背景には連動性の悪いカラダがあり、それは上下肢のベースの体幹の使い方に問題があるという視点が出てきます。姿勢の悪さ、肩こり、腰痛など、体幹に問題があれば、やはり上下肢の関節も故障しやすくなって当然です。

テニス肘の鍼灸治療

テニス肘の鍼治療では、発痛部位の局所治療が重要です。痛みは、肘、手首の使い過ぎによる炎症が原因です。なぜ炎症が起こるのか?使い過ぎだから~それでは答えになっていません。手首、肘の関節を動かしている筋肉の疲労が根本原因です。疲労が蓄積した筋肉は、柔軟性を失い、十分な伸縮ができません。このため、筋の終着である腱にストレスがかかり、スムーズな関節運動ができず、炎症が起きるのです。根本原因は、関節のムーブメントの筋肉です。だから、発痛部位の肘や手首にだけ治療をしていても治りません。局所にステロイド注射を打っても、一時的に炎症がひくかもしれませんが、原因の筋肉の治療をしないかぎり再発を繰り返します。

腱鞘炎、スポーツ肘は、関節運動を担当している筋肉と発痛部位の関節局所の治療が必要です。しかし、分かっていても成績が伴わないのが、腱鞘炎とテニス肘の治療です。治療法は、単純明快ですが、少しコツがあります。筋肉と骨との付着部位を、上手に削ぐように鍼をします。そうすれば、非常に効果的です。

テニス肘の治療でいらした先生は、2診目の治療で8割程度、症状が改善し、3診目で治療を終了しました。ゴルフのレッスンを再開できそうだと、たいへん喜んでいただけました。もちろん症状の重症度によって変わりますが、初回の治療で5割程度改善なら3回〜5回。2〜3割改善なら5回〜10回くらいが目安の治療回数です。

この記事を書いた人

中野保
中野保

二天堂鍼灸院院長 / ほのしん講座代表

行岡鍼灸専門学校卒業後に北京堂鍼灸・浅野周先生に師事。2001年に独立し二天堂鍼灸院を開院。2007年に炎の鍼灸師・養成講座(現在のほのしん講座)を開校し、後進の育成にも力を入れています。2018〜19年に 『医道の日本』誌に治療法連載。2020年 臨床総合実習(必修単位)の認定施設として学生の指導を開始。2021年 開業20周年を迎え、神戸市・芦屋市での地域一番院を目指し日々臨床に取り組んでいます。
神戸市の鍼灸院・二天堂鍼灸院
鍼灸師養成講座・ほんしん講座